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シーズーと過ごした16年5ヶ月

2016-06-04
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「犬種:シーズー/16歳5ヶ月」

Shih tzu dog

出会いは20年前の春。

友達から、「うちのシーズーが5匹も子供を産んだから、良かったら1匹引き取ってくれないか」と連絡があり、これまで「ペットは亡くなった時が辛いから飼いたくない」と言っていた母を説得し、「最初で最後」と決めてYesの返事をした。

当時大学生だった私は母に引き取りを任せ、その日は急いで帰宅。

初めて見たその子はまるで毛糸玉みたいに小さくてフワフワしていた。

母は、「5匹の中で一番小さくて丈夫に育つか不安だったけど、顔を見たらこの子に決めた」と。

ビー玉のように丸くてキラキラした目に、黒く濡れた低い鼻、キュッと結んだ小さな口は、私達家族のハートを鷲掴みにし、そしてユウと名付けた。

 

 

それからの生活はユウを中心に回り始め、父と母はまた子育てをやり直すかのように愛情を注ぎ、もはやユウは家族の一員として欠かせない存在となっていった。

ユウは比較的おとなしく手のかからない子だったが、母の心配通り少し身体が弱かった。心臓の弁から血液が漏れる病気で、10年近く血液拡張剤を飲み続ける事になる。

 

 

やがて私は就職し家を出ることになり、写真や電話でユウの成長を見守る限りとなったが、そんな中で一度だけ胸が痛む事があった。

それは遠方での親戚のお葬式、

連れて行くのは無理があると思い、初めてペットホテルにユウを預けた。

2泊して戻ったとき、ユウの目は真っ赤に充血し、声が枯れていた。ケージの隙間に顔をこすりつけ、ずっとなきつづけていたのだろう。

ひとりぼっちで知らない場所においていかれ夜も眠れなかったに違いない、不安で長い長い時間を強いてしまった。

以来、両親はいつも、どこへ行くにもユウを一緒に連れていくようになった。

 

 

お出かけが大好きなユウは車に乗ると「窓を開けて」とせがむ。風をうけて目を細めるその顔はいつも笑っていた。

長い年月が過ぎ、私が帰省するたびにユウは少しずつ老いていった。毛の色が薄くなり、目が白くなり、動きが鈍くなり、人間でいう90歳辺りを迎えていた。

ある日突然、ウチの廊下でバタっと倒れ動けなくなり、今までに聞いた事のないような声で激しくないたので急いで病院につれていくと、先は長くないと言われた。

母が恐れていた別れが近づいている。

私達家族はユウの喜ぶ顔がみたくて最後になるであろう旅に出た。

もう窓を開けてとせがむこともなかったが、母の膝の上で気持ち良さそうに眠っては時折動く景色に目をやるユウは幸せそうにみえた。

そして、その日家族四人でみた夕日は真っ赤で、まるでユウの命みたいだった。

 

 

数日後、また発作が起きたユウは

病院から帰ってきたあといつものようにリビングで横になっていた。

母はお風呂へ入りにいき、父がユウの傍にいた。

するとユウは少し伸びをするように身体をのばすと、それきり動かなくなった。

慌ててお風呂から出てきた母が見たユウは、もう息をしておらず、

両親の呼び掛けに2度と答えることはなかった。

母は「よりによってどうしてお母さんが見てない時に逝っちゃうの」と泣いた。

16年5ヶ月、犬としては長い生涯を終えた。

 

 

母のペットロスを心配していた私に友人が、「大丈夫、必ず姿を変えて会いにくるから悲しまないで」とかけてくれた言葉通り、

火葬場で母は、「またウチの子になって戻っておいでね」と声をかけユウを見送った。

 

 

その3か月後、私が妊娠している事がわかった。

私達家族は思った、「ユウが帰ってきてくれた」と。

今、大切な家族であるペットを失い悲しみの底から抜け出せない人がいたら、私も同じ言葉をおくりたい。「大丈夫、必ず姿を変えて会いにくるから悲しまないで」と。

 

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